ドクターズコラム

ドクターズコラム

>>過去のドクターズコラムはこちら

女性とスポーツについて

産婦人科 医師 杉田奈穂子

帯広協会病院
産婦人科 医師 杉田奈穂子

近年スポーツを行う女性は増えておりますが、月経不順、無月経等に悩んでいても相談出来る病院がわからず婦人科受診をできていない方や、月経前や月経時の辛い症状を我慢している方、試合や遠征、合宿に合わせて行う月経調整があることをよく知らない方が多く見受けられます。

今回は、女性アスリートに多い悩みについて簡単にご紹介致します。

月経周期異常

月経周期は通常25-38日ですが、それ以外の周期のものを月経周期異常といいます。特にスポーツ選手には無月経が多く、これまで来ていた月経が3ヶ月以上ないことを続発無月経、18歳になっても初経がこないことを原発無月経といいます。

スポーツの練習量の多い女性では、無月経の割合は一般女性の割合の3倍以上とも言われています。近年世界的に、女性アスリートの三主徴という定義が大きくとりあげられており、これは、無月経、骨粗しょう症、エネルギー不足(食事量の不足)の3つを指します。この3つは密接に関わっており、運動消費エネルギーに見合わない摂取エネルギーの不足が無月経を引き起こし、無月経が骨粗しょう症を引き起こすという悪循環を生み出していきます。

スポーツ選手では、無月経であることが楽でよいと考えていたり、指導者では月経がくることを良いこととせず月経が来ないことが一人前だとする風潮が未だありますが、これは間違いです。

骨粗しょう症による疲労骨折や、無月経による女性ホルモン(エストロゲン)が低い状態が、パフォーマンスの低下を引き起こすことは多くの研究からわかっている事実であり、女性アスリートの三主徴改善することがスポーツを続けていくためにも、また、将来の健康にも非常に重要なことです。特に骨の形成期である思春期が大切な時期であり、この時期に骨の形成が行われないと、その後の骨密度が上昇することはありません。

スポーツを一生懸命行っている方で、無月経で悩んでいる場合には、早めに産婦人科の受診をお勧めします。

月経困難症・月経前症候群

月経困難症とは、月経中に下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気などの症状が強く日常生活に支障をきたすもののことを言います。

月経前症候群とは、月経前の3-10日間にイライラ、憂鬱になるなどの精神的症状や、下腹部痛、腰痛、頭痛などの症状があり、月経がくると改善する症状のことを言います。

これらの症状により、試合など大事な日によいパフォーマンスを発揮することが出来なかったり、普段の練習にも影響がでることがあります。
現在では、大事な日に合わせて月経移動を行ったり、普段から鎮痛剤や低用量ピル等を用いることで症状を抑え、スポーツに集中できる環境を作ることができます。ぜひご相談ください。

上記以外の症状でも、当院では、中学高校の部活動や趣味でスポーツを行う方から、より高いレベルで競技を行う方まで、スポーツに参加する全ての女性の婦人科に関する様々なご相談を受け付けておりますのでどうぞお気軽にご相談ください。

参考資料:Health Management for Female Athletes(国立スポーツ科学センターホームページより。)

このページの先頭へ